11-12月に読んだ本

ジェイムズ・エルロイ、伊藤計劃、冲方丁と、思いっきり同じ系統の小説ばかり読んでました。暴力!暴力!暴力!のジェットコースター。●twitterのひとこと感想 エルロイ「ホワイト・ジャズ」。バラバラに見えた多くの事件・人物が絡み合いつつ怒涛の勢いで話…

人間の測りまちがい

人間の測りまちがい―差別の科学史作者: スティーヴン・J.グールド,Stephen Jay Gould,鈴木善次,森脇靖子出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 1998/12メディア: 単行本 クリック: 94回この商品を含むブログ (15件) を見るグールドという古生物学者による科…

本泥棒 /マークース・ズーサック

本泥棒作者: マークースズーサック,Markus Zusak,入江真佐子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2007/07メディア: ペーパーバック購入: 2人 クリック: 59回この商品を含むブログ (46件) を見るいやもう、ホントにいい話で、読み終わって号泣ですよ。ここ何年…

秘曲笑傲江湖 /金庸

秘曲 笑傲江湖〈第1巻〉殺戮の序曲作者: 金庸,岡崎由美,小島瑞紀出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 1998/04メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (16件) を見る武侠小説と呼ばれる、中国の時代劇っぽい大衆エンタメ小説。作者の金庸は中華圏…

高学歴ワーキングプア -「フリーター生産工場」としての大学院 /水月昭道

高学歴ワーキングプア 「フリーター生産工場」としての大学院 (光文社新書)作者: 水月昭道出版社/メーカー: 光文社発売日: 2007/10/16メディア: 新書購入: 9人 クリック: 324回この商品を含むブログ (231件) を見る大学院の博士課程修了者の二人に一人が定職…

とある飛空士への追憶 /犬村小六

とある飛空士への追憶 (ガガガ文庫)作者: 犬村小六,森沢晴行出版社/メーカー: 小学館発売日: 2008/02/20メディア: 文庫購入: 59人 クリック: 1,482回この商品を含むブログ (441件) を見るお姫様を本国に届けるために、1万2千kmの敵陣をプロペラ機単独で突破…

PS 2008年11月号

PS (ピーエス) 2008年 11月号 [雑誌]出版社/メーカー: 小学館発売日: 2008/10/01メディア: 雑誌 クリック: 1回この商品を含むブログ (3件) を見る先日のCanCamに引き続き、いい年したおっさんが女性ファッション誌を熟読するよシリーズ第2弾。今回は「PS」で…

クビキリサイクル―青色サヴァンと戯言遣い /西尾維新

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社文庫)作者: 西尾維新,竹出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/04/15メディア: 文庫購入: 6人 クリック: 275回この商品を含むブログ (227件) を見る天才の女の子ばかりが招待された孤島で起こる密室殺人事件…

ラヴクラフト全集1 /H・P・ラヴクラフト

ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))作者: H・P・ラヴクラフト,大西尹明出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 1974/12/13メディア: 文庫購入: 21人 クリック: 175回この商品を含むブログ (179件) を見る1923-31年に発表された怪奇ホラー短・中編4本…

CanCam 2008年8月号

CanCam (キャンキャン) 2008年 08月号 [雑誌]出版社/メーカー: 小学館発売日: 2008/06/23メディア: 雑誌購入: 2人 クリック: 3回この商品を含むブログ (3件) を見る最近、社会人のたしなみとしてオシャレ雑誌「CanCam」を読み始めました。これがなかなか面白…

蠅の王 /田中啓文

蝿の王 (角川ホラー文庫)作者: 田中啓文出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2008/01/25メディア: 文庫 クリック: 49回この商品を含むブログ (17件) を見る悪魔「ベルゼブブ」の封印が解かれ、悪意を持った虫の大群が人間を襲いはじめる話。のはずだけど、悪趣…

王狼たちの戦旗 全5巻 /ジョージ・R・R・マーティン

王狼たちの戦旗〈1〉―氷と炎の歌〈2〉 (ハヤカワ文庫SF)作者: ジョージ・R.R.マーティン,George R.R. Martin,岡部宏之出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2007/03メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 13回この商品を含むブログ (30件) を見る王狼たちの戦旗〈5…

七王国の玉座 3-5巻 /ジョージ・R.R.マーティン

中世的な世界「七王国」を舞台にした一大ファンタジー叙事詩「氷と炎の歌」シリーズ第一幕の終わり。2巻の感想で「起承転結の承」と書いたのですが、文庫5冊分の第一幕が、起どころかただのプロローグであることが明らかになりました。激動の展開を見せたに…

太陽の塔 /森見登美彦

京大農学部5回生の男が、友達と酒を飲み、バイトをし、2年前に振られた女の子を付回す、イカ臭い系自伝的青春ストーリー。最後まで読み終わって、ああこれは恋愛モノだったんだと気付くんですが(ネタバレ申し訳ない)、そのしつこい隠蔽も作品の芸のうちって…

カラマーゾフの兄弟 /ドストエフスキー

帝政ロシア末期、片田舎の成金であるカラマーゾフ家の父とその3兄弟が、金と女のことで互いに罵り合う3日間。という概要からは想像もつかないほどの、ずしっとした重量級の作品でした。文庫5冊という分量に留まらない、作品の凄みがハンパないです。女に会い…

違法コピー職人たち~誰も語れなかったパソコンの黒歴史 /橋本和明

Basicプログラムを保存したカセットテープのダビングから、BitTorrentまで、パソコンを使ったデータコピーの歴史を、一流のマニアが振り返ってまとめたもの。編集が適当で、誤字脱字が多かったり、構成がよくなかったりするもの、データアーカイブに対するマ…

バビロニア・ウェーブ /堀晃

太陽から3光日(8000億km)の宇宙空間を貫く直径1200万kmのビーム光線「バビロニア・ウェーブ」。その研究・送電施設で起こる事件を描いたハードSFです。1989年の星雲賞受賞作品。物語の謎よりも、宇宙空間のスケールを忠実に描いたことによる、深宇宙のだだっ…

ウロボロスの波動 /林譲治

西暦2123年から2171年までの太陽系開発事業の発展を描いた、連作短編集。異質な集団間のコミュニケーションが共通の裏テーマとされていて、短編集ですが連続性もある作りです。どの短編も、思いも付かないトラブルに開発事業が直面するところから始まるため…

中谷宇吉郎随筆集 /中谷宇吉郎

応用物理学者の中谷宇吉郎(1900-62)による、戦前から戦後に書かれた随筆集。自分が行っている研究や日常的な題材を通して、一般の方に科学の面白さが伝わるような題材が多いかな。科学者然とした、修飾が少なく簡潔な語り口が魅力的です。自分のような理系学…

目を擦る女 /小林泰三

観念論的な、主体もしくは世界がぐるっとひっくり返る話が集められたSF短編集。昨日の「精神科Q&A」と同じテイストの作品が多いです。その中でも、探偵モノの「超限探偵Σ」は軽妙で面白かったです。さくっと簡潔に、有り得ない解決を導き出す論理が凄すぎ。…

グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉/飛浩隆

人の来訪が途絶えたヴァーチャル・リゾートを舞台に、平和に暮らしていたAI達と、突如襲来し全てを無にする「蜘蛛」達との戦いを描いたハードSF。序盤はまあ普通の戦いなんですが、リゾートの本当の設定と意図が明らかになる中盤以降はガツンと来ました。リ…

零式 /海猫沢めろん

東暦2000年、帝国による植民地とされ、鎖国状態に置かれた神國を舞台に、バイクを駆る少女の冒険を描いた、歴史改変モノかつサイバーアクション。チップの脳内埋め込みによって自我を無くした侍達を兵隊として使う極右カルト集団「大零翼賛会」、極細のハー…

靖国問題 /高橋哲哉

「戦没者の追悼に関する日本の伝統」という偽装を取り除けば、靖国神社は国家による戦争動員装置でしかないことを、靖国神社の成り立ちや主張から示す新書。靖国問題に関する左派、というか「国家のための戦争」嫌悪派のための基本的テキストかな。非常に読…

101号室の女 /折原一

どことなく「世にも奇妙な物語」のテイストなサスペンス短編集。雰囲気の不気味さと、凝ったどんでん返しにつながるストーリーテリングの上手さがバランス良く両立しているのがいいです。☆☆☆★★101号室の女 (講談社文庫)作者: 折原一出版社/メーカー: 講談社…

マルドゥック・ヴェロシティ /冲方丁

軍事研究によって創り上げられた戦闘マシーンである主人公「ボイルド」が、欲望の街「マルドゥック市」の証人保護機関で活躍するものの、次第に虚無にとらわれていく、サイバーパンクSF。油と硝煙と血の匂いが漂う「スター・ウォーズ エピソード3」+「攻殻機…

ベスト&ブライテスト /デイヴィッド・ハルバースタム

ベトナム戦争にのめり込んだアメリカ政権内部の動向を、膨大なインタビューからまとめた1972年出版のノンフィクション。膨大な事実と思惑の積み重ねをそのまま記述しようとした力作で、戦争という物事の巨大さに圧倒されます。あまりにたくさんの側面がある…

ブラスト公論 /宇多丸等

音楽誌「ブラスト」で2000年から2004年まで連載されていた、30代のおっさん連中による座談会。つうか、飲み話。モテ、下ネタ、政治、等々、ほぼ人生を網羅したテーマで、縦横無尽にだべっております。タモリ倶楽部やら内村プロデュースやら仲良しなおっさん…

星を継ぐもの /ジェイムズ・P・ホーガン

1977年に発表されたハードSF。2028年、宇宙服を着たミイラ状の人間の死体が月面で発見されるが、なんと、その死体は死後5万年が経過していた。という発見から始まって、惑星・人類スケールの謎とその解明が連鎖していく話です。どのページを開いても科学上の…

蒲生邸事件 /宮部みゆき

日本SF大賞受賞作品ということで、宮部みゆきを初めて読んでみました。男子浪人生が1994年から1936年にタイムスリップし、2.26事件の渦中に放り込まれる歴史SF。と思いきや、途中から陸軍大将殺人事件を巡る推理小説になるというかなりアクロバティックな小…

人間失格 グッド・バイ /太宰治

二重のメタ構造の中で自虐としか思えない展開をする「人間失格」、わざとひどく浅薄な話し口でどうしようもない男を語る「グッド・バイ」、志賀直哉など実名をあげての怒涛のバッシング評論「如是我聞」の三篇。本当にロックンロールな奴だな、と感心しまし…