教育基本法改定案(政府提出案)

教育基本法改定について調べてみたんで、自分なりにまとめてみる。色々考慮すべき点はあるが、「学問の自由」の位置づけの違いが重要かと。

現行

教育の目的は、あらゆる機会に、あらゆる場所において実現されなければならない。この目的を達成するためには、学問の自由を尊重し、実際生活に即し、自発的精神を養い、自他の敬愛と協力によって、文化の創造と発展に貢献するように努めなければならない。(第2条)

「教育の目的」の達成のために、学問の自由は必要不可欠な要素という位置づけ。ちなみに、ここでの「教育の目的」は第1条で人格の完成等と定められてて、一見したところ現行と改定案に大きな違いはないです。

改定案

教育は、その目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。
(後略、愛国心を含む5項目の目標) (第2条)

ここでの「学問の自由」は、「教育の目的」と無関係に位置づけされてる。「学問の自由」は表現の自由を定めた現行憲法上考慮すべきだが、教育においては2次的な要素であり、列挙された「教育の目標」と対立すれば無視しても良い、ってことか。

まとめ

この「学問の自由」に関する違いは、教育や研究が、個人の自発的精神によって行われるべきか、政府の政策に沿って行われるべきか、という考え方の違いに起因すると思われる。後者に立つ政府改定案だからこそ、前文「我が国の未来を切り拓く教育の基本を確立し」や、教育行政に関する第10条の「教育は、(中略)、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべき」という記述が出てくるんだな、と理解した。

こう考えてくると、実際に学問や教育に関わる人以外では、後者の考え方に賛成する人が多いかも。

参考:
現行教育基本法と政府提出「教育基本法改正案」の比較(06年4月27日作成)
http://seijotcp.hp.infoseek.co.jp/edu0604.html