ロッキー・ザ・ファイナル 監督:シルベスター・スタローン

年をとったロッキー(スタローン)がもう一度ボクシングをする、ただそれだけの話。超有名シリーズのフィナーレを飾る作品(もうやらないだろう)で派手に宣伝されてましたが、むしろ単館系で上映されててもおかしくないような、渋くて地味な映画です。

つうかもうね、年老いて哀愁が漂うロッキーを観てるだけで切なくてさあ。愛する妻エイドリアンに先立たれ、墓の前に小さいイスを用意してずっと座ってるロッキー。つぶれたスケートリンクを訪れ、妻との初デートを滑舌悪く語るロッキー。下町の定食屋でお客さんに昔の試合を何度も話すロッキー。一流企業に勤めている息子に邪険にされるロッキー。不良のガキどもにからかわれ、それをやり過ごすロッキー...

栄光に満ちたこれまでのシリーズがあるからこそ、今作で味わえる、盛者必衰の苦味は半端じゃないですよ。そして、クライマックスで起こる奇跡の素晴らしさも。

なので、これから観ても話は分かるけれど(シンプルな話だから)、ちゃんと味わうためにはシリーズ1作目だけでも観てからの方がいいと思われます。