県警対組織暴力 監督:深作欣二

県警対組織暴力 [DVD]

県警対組織暴力 [DVD]

倉敷市(たぶん)を舞台に、ヤクザとつるむ悪徳刑事(菅原文太)の成り上がりと破滅を描いたヤクザ映画。深作欣二が「仁義なき戦い」シリーズの後の1975年に監督した作品です。

とにかく、映画中に荒れ狂う暴力がすげー良かった。とりわけ、菅原文太松方弘樹山城新伍などの役者陣のキレっぷりといったら。日常的に暴力に接している人間にしか出せないような「暴力の匂い」を、立ち振る舞いからプンプンさせてる。訛りもあってほとんど何言ってるか分かんないんですけど、なんか喚き散らしてるだけで怖くて、こんな奴らの取り調べなんて混じりっ気なし純度100%の暴力です。最高。痺れました。

まあでも、結局、暴力を仕事にしている人間は社会からはみ出した者であり、それにふさわしい最期を(お約束どおりに)遂げるわけですが、その報われない感じも良かったなあ。脚本がすごくよく出来てて、ブイブイ言わせてた菅原文太が、だんだんにっちもさっちも行かなくなる様がリアルで。

一方で、暴力を上手くオブラートに包んでまるで存在しないかのように演出できる人間は(映画タイトルの県警側にあたる)、順当に体制内で成り上がっていくのであって、社会批評としても鋭く描かれていると思ったよ。「ウシジマくん」とか好きな人はぜひどうぞ。