選挙 監督:相田和弘

選挙 [DVD]

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2005年の川崎市議補選に自民党公認で立候補した、山内さん(40歳、自営業)の選挙活動を追ったドキュメンタリー。クレジットによると、監督がただ一人で撮って編集して作った映画のようです。

映画は、引越し(落下傘候補なので)の挨拶をしたクリーニング屋のおばちゃんに、家の裏手の水はけが悪いとクレーム付けられる冒頭のシーンから面白すぎました。幼稚園の運動会で選挙挨拶したり、朝早くの駅前で道行く人に「行ってらっしゃいませ!」と連呼するシーンなど、どこの松本人志コントかと思った。マジでシュール。

こんなシーンがずっと続いてやたらと笑えるんですけど、一方で非常に気が滅入ってくるんですよ。特に、選挙運動を描いた2時間もの映画中に政策の話がまったく出てこないってことに、もう、何つーか、脱力してしまう。じゃあなんで選挙やってんの、という話になってしまうわけで。唯一あったのが、新聞記者に政策を聞かれて「改革です!」と答えるところだけっていうのもどうよ(笑えるけど)。山内さん夫妻の涙ぐましい努力が描かれるほど、無気力感に襲われます。

社会科で習った輝かしい「民主主義」が、こんな無意味で不合理な慣習行事として実現されるとは。ホント、現実はブラックな笑いに満ちてるよなあ。月9ドラマ「Change」の後にこれを放映すればいいと思った。

●感想リンク

遅ればせながら昨日、『選挙』に行ってきた - Rhymester Blog:この映画の可笑しさと悲しさを分かりやすく解説。

紛うことなき「日本型民主主義」の最末端の現実、それこそ昨日まで全国津々浦々で繰り広げられてきた光景、そのものなわけで。そこを思うと、今度は心底情けなくなって涙が出てくるという……オレら、こんな程度の「美しい国」に住んでんだよ実際んとこ!

映画「選挙」 あまりにも酷い自民党選挙とそれに投票するバカ - 反米嫌日戦線「狼」(醜敵殲滅):こっちの方は普通に怒ってる。

この映画は、今年2月のベルリン国際映画祭でも上映された。このときのドイツ人の反応は、「日本人は選挙でこんなことをやっているのか。バカじゃないのか」というものであった。

公式サイト

(ベルリン)映画祭に出席した山さんは、上映後観客から拍手喝采スタンディングオベーションで迎えられ、「可愛い」「どんなにいじめられても決して腐らないのは、聖人並みの精神力」「痛々しいほど純粋」などと称賛された。