ニュースの天才 監督:ビリー・レイ
アメリカの政治雑誌での記事捏造事件を描いた、実話に基づいたハリウッド系人間ドラマ。90分と短いのでさくっと観られるけど、記事捏造を行った動機や背景の描写がほしかった。
ただ、その辺を観客に想像させうるほど、役者の演技がとても良い。二人の編集長の抑えた円熟味がいいし、影のある主役にヘイデン・クリステンセン(スター・ウォーズの青年アナキン)もはまってる。なんだか、彼の目に暗黒面が見える気がしてくるんですよ。☆☆☆
追記。この映画について、「真実は誰にも特定できないなかで、記事とはどんな意味があるのか。考えさせられる。」みたいな感想をいくつか見ました。で、自分としてはそういう感想に違和感を覚えたんで、独り言を言ってもいいすか。
その解釈は多様になりうるからといって、「このホテルにミニバーが付いている」ような事実は本当か嘘かのどちらかしかないことを、うやむやにしてはいかんだろう、と。むしろ、人それぞれの解釈がありうるからこそ、事実を書くことがプロであるジャーナリスト(研究者でも)の存在理由である。そういうことを大学院で叩き込まれてる自分としては、「真実は誰にも分からない」という相対主義的な意見は、事実の捏造がジャーナリストにとって自殺行為であることを覆い隠すような気がしてならんのです。
事実の捏造と同じように罪深く、しかも罪に問われにくいからさらに性質が悪い、「多数の事実から恣意的に都合のよい事実だけを選ぶ」という一般的な手法がありますが、それにも映画で触れて欲しかったな。
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