複雑な世界、単純な法則 /マーク・ブキャナン

人のコネクション、インターネット、感染病の流行、生態系の安定性など、ある「もの」の相互関係・構造を取り扱う、「ネットワーク科学」をサイエンス・ライターが紹介した本(初版は今年3月)。著者は、構造を持つ上記のような現象を説明するには、これまでの科学がやってきたようなその構成部分をそれぞれ調べることに加えて、各成分の相互依存が総体としてどのような構造を持つかについても調べる必要があると主張する。

そして「もの」自体の特性を捨象すれば、世の中にあるいくつもの非常に複雑な現象が同じような特徴的な構造(クラスター化されたスモールワールドと名付けられてる)を持つことを、分かりやすい検証によって示す。また、脳のニューロンにおける発火同期のように、これまで謎とされていたいくつかの現象は、スモールワールドの構造を持つと考えればうまく説明ができることを示す。というような内容。

話がそれほど難しくないので、すんなりと読めた。現実の問題をきっかけに発展する数学って素人にも分かる面白さがあるね。☆☆☆

複雑な世界、単純な法則  ネットワーク科学の最前線

複雑な世界、単純な法則 ネットワーク科学の最前線