神様のパズル /機本伸司

物理のゼミ(素粒子実験系)に入った4回生男子が、宇宙を作ろうと目論む天才飛び級少女に振り回される、ハードSF+ライト青春モノ。で、一番印象的だったのは、主人公のリアルなダメさ。ぜんぜん理解してない物理系に進んだのは好きな女の子が目当てだったはずなのに、話しかけもせず、周りの男とくっつくのを見て落ち込んでるだけ。しかも、好きになった理由は単に「可愛いから」というわけで(たぶん)、読者も「アホなやつやな」と思うしかない。なんつーか、ちょっと前の自分を見てるみたいで胸が痛くなりますよ。中盤の、努力の空回りっぷり、周りからの距離の置かれっぷりは、ホント切なすぎ。

肝心のSF部分は、だいぶ話を誤魔化してるような気もしたかな。階層性の概念が希薄というか。ビッグバンのシミュレーションで知的生物文明の発展を調べる、とかちょっとどうかと。でも、「なぜ」と問う態度の重要性は勉強になりました。☆☆☆

神様のパズル (ハルキ文庫)

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