人間失格 グッド・バイ /太宰治
二重のメタ構造の中で自虐としか思えない展開をする「人間失格」、わざとひどく浅薄な話し口でどうしようもない男を語る「グッド・バイ」、志賀直哉など実名をあげての怒涛のバッシング評論「如是我聞」の三篇。本当にロックンロールな奴だな、と感心しました。
でも、やっぱり文豪と言われるだけあって文章が素晴らしい。「グッド・バイ」の書き出しなんて読んでるだけで気持ち良くなれるので、引用。「、」の打ち方すら熟練の趣きがあります。
唐詩選の五言絶句の中に、人生足別離の一句があり、私の或る先輩はこれを「サヨナラ」ダケガ人生ダ、と訳した。まことに、相逢ったときのよろこびは、つかのまに消えるものだけれど、別離の傷心は深く、私たちは常に惜別の情の中に生きているといっても過言ではあるまい。
その一方で、「如是我聞」には「妻子が可愛いだけじゃねえか。」とか書いちゃってるのが面白いす。☆☆☆☆★
- 作者: 太宰治
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1988/05/16
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