ハウルの動く城 監督:宮崎駿

2回目の鑑賞です。1年前に観たときは話が破綻していると思ったんですが、最後5分がなければ、結構ちゃんとしてる気がしてきました。

これは、ソフィーとハウルの成長を描いた青春映画なんですね。戦争は、二人の話のあくまで社会背景であって、主軸ではない。「ナウシカ」や「もののけ姫」というこれまでの宮崎駿作品では、ヒロインによって戦争に終止符が打たれ世界自体が変化するので、ついついそういう話かと思ってましたが。二人の成長を描いた、という点では十分な出来だと思います。ソフィーの「呪い」(あえてカッコつき)の解き方が特に上手い。

ただ、本作での戦争の描かれ方に、これまでより希望がないのが興味深いです。戦争は着実に日常生活に侵入し、そして最後には破壊する。登場人物にはそれに抗う術がない。そこに、宮崎駿の変化と、それを引き起こした社会の変化を見てしまうのは深読みしすぎでしょうか。そういう意味で、本作のご都合主義的なラスト5分は、宮崎駿の、子ども達に対する責任と希望と絶望の混合物かもしれん。なんてなー。

ハウルの動く城 [DVD]

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