シッコ 監督：マイケル・ムーア

シッコ [DVD]

アメリカでは、日本と違って公的な医療保険制度がほとんどなく、民間大企業が医療保険を担っています。で、これらの企業にとっては利益を上げることが目的なので(当然ですが)、加盟者の医療費の支払いを拒否しようと無茶苦茶な手を使っています。そんなアメリカの医療の悲惨さを追ったドキュメンタリー。

名だたる大企業に単身でケンカを売る、マイケル・ムーア監督のいつもどおりの映画で面白かったです。これまでの「ボウリング・フォー・コロンバイン」「華氏911」と比べても全く遜色ないんで、そういった映画が面白く感じた人はすぐに観るように。

ほんで、マイケル・ムーアの映画を観たことない人向けに簡単に説明すると、この監督はその行動力が持ち味です。普通のドキュメンタリーでは、製作者はあくまで現実を観察することに徹するのに対し、この監督は、目の前の困ってる人(今作では医療費を出してもらえない人)を助けようと自分で行動を起こす。しかもその行動力が半端なくて、たとえその場しのぎだとしても、東奔西走して結局その問題をある程度解決してしまう。その時の、今まで困ってた人がする、おずおずとした、でも心の底からの感謝の表情が心を打つんですよ。映画が終わった時に、本当に良かったなと観客が思えるのは、なかなか素晴らしい映画体験じゃないかなあ。

そんなわけで、こういう政治的映画も面白いよ、と。諦めずに何とかアイデアを出して現実を変えていくのは楽しいことだ、という監督のメッセージに共感して頂けると嬉しく思います。

●リンク

マイケル・ムーア最新作『シッコ』公開前から大評判 - 暗いニュースリンク：アメリカの医療制度の問題に関しての記事。ひどすぎるが、日本も他人事じゃない。