セクレタリー 監督:スティーブン・シャインバーグ

法律事務所の秘書として雇われた精神的に不安定な女の子(マギー・ギレンホール)が、上司に色々とお仕置きされるうちに、エロスな喜びと自己肯定に目覚める話。SMというアレなテーマにもかかわらず、一人の女性の内面的な成長を丁寧に描いた真面目なドラマでした。ちょっとひねくれたユーモアセンスも好み。

個人的には、SMなんかのアブノーマルな関係に踏み込もうというときの男と女(同性でもいいけど)の精神的探り合いは、見ててメチャクチャ面白いと思うんです。で、この映画はその緊張感を再現できてて、それだけで映画として大成功ですよ。エロスは人間関係ドラマの素晴らしいスパイスになり得る、という良い見本。

その点で、上司を演じたジェームズ・スペイダーが特に良かった。日常的に欲情してて、その性的衝動を分かりにくい表現にくるんで従業員にぶつけるサドなおっさん。ナイスな変態でした。