ワイルド・ナイツ

ワイルド・ナイツ 1 (アクションコミックス)

ワイルド・ナイツ 1 (アクションコミックス)

ワイルド・ナイツ 2 (アクションコミックス)

ワイルド・ナイツ 2 (アクションコミックス)

ちょっと前に読んだマンガ「ワイルド・ナイツ」がすげー良かったです。

主人公は、地方都市在住、三十路バツイチ、職業フリーターの男で、この人が、ヤンキーを恐れて空手を習ったり、しけた合コンに行ったり、風俗にはまったりする話です。

まー、実際、大した話じゃないし、絵も全然上手くないんですけど、行き場のない青春のたぎりだけはビンビン伝わってくる。30歳過ぎてるんで、もしかしたらもう青春と呼ばないかもしれませんが、このどうしようもない感じは自分にとって青春そのものっすわ。

で、青春モノで読者が血をたぎらすには、その時代の空気を作品が反映してることが必要不可欠だと思うんですよ。その点、このマンガは、今の日本の地方都市の殺伐とした空気を純度百パーセントで記録してて、そのリアリティと言ったら凄くてさあ。主人公の境遇とは全然違うのに、同じ世代に生まれたことを確信できる感じ。

というわけで、30歳ぐらいの男はみんな読んで、「俺も頑張んないとなあ」って思えばいいのではないでしょうか。

ちょっと蛇足ですけど、読み終わった後になぜか走り出したくなる感じは、10年前ぐらいによしもとよしともという人のマンガでも感じたんですよね。この両者を比べてみると、90年代渋谷系のスカした雰囲気と00年代地方の殺伐とした雰囲気が対照的で、時代は本当に暗くなったな、としんみりします。

●感想リンク