太陽の塔 /森見登美彦

京大農学部5回生の男が、友達と酒を飲み、バイトをし、2年前に振られた女の子を付回す、イカ臭い系自伝的青春ストーリー。最後まで読み終わって、ああこれは恋愛モノだったんだと気付くんですが(ネタバレ申し訳ない)、そのしつこい隠蔽も作品の芸のうちって感じ。

で、個人的な感想なんですが、エピソードごとに自分の学部生時代を思い出しちゃって、話と関係なく懐かしい気持ちになりました。年もほとんど同じだし、学部は隣の学部だし、大学付近の固有名詞は完全に把握してるし。さらに、ゴキブリ大量発生の木造アパート、男4人で鍋、アニメの耐久上映会、イケてるサークルへの嫉妬と軽蔑、などなど文化圏も同じで、もうおまえは俺か、と。

そういうわけで、京都学生のヘタレ男文化圏のあの生活形態が、こうやって作品として後世に伝えられることが嬉しいです。後輩のおまえらも、学生時代の思い出アルバムとして、バカ高い大学発行の公式アルバムよりこっちを買って下さい。

太陽の塔 (新潮文庫)

太陽の塔 (新潮文庫)