アドルフに告ぐ /手塚治虫
戦前から戦中の日本を主な舞台に、ヒットラーがユダヤ系であることを示す秘密文書をめぐって、男達がたどる数奇な運命を描いた、重厚な歴史大河物語。Wikipediaによると、1983年から1985年まで週刊文春に連載された作品だそうです。
手塚治虫作品の一番の魅力は「大人の鑑賞にも耐える」という形容詞が相応しい骨太なストーリーだと思うんですが、今作品はまさにそれ。さらに、その物語を支えているのは緻密な取材であることもよく分かる作品です。ベルリンオリンピック、ゾルゲ事件、神戸空襲、ユダヤ人街などなどの実在の事柄が背景に描かれることによって、話に奥行きが出てくるんですよね。第二次世界大戦が終わってもイスラエル紛争に話が継続されるという、常人の発想を超えた視野の広さも真摯な取材の賜物なんだろうなー。神様「手塚治虫」の才能の一端を垣間見た気がします。
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