ウォンテッド 監督:ティムール・ベクマンベトフ

負け犬人生をおくる冴えないサラリーマン(ジェームズ・マカボイ)が、突然暗殺者養成所に放り込まれ、人間兵器として活躍するアクション。プロットだけ見ればよくあるハリウッド製アクションですが、アクション映画に新たな1ページを加えてやるという製作者の気概を感じさせる意欲作でした。つまり、すげー面白かったってことです。

例えば、嫌な会社の同僚を殴ってこれまでの普通の人生に見切りをつける、ある意味、ド定番なシーン。ここで、主人公は手に取ったキーボードで同僚を殴るんですけど、殴った時にキーが吹っ飛んで、カメラの前で一瞬「FUCK YOU」と並ぶんですよ(折れた歯も一緒に)(あれ、Uが2つある?)。こんな演出は見たことないし、バイオレンスなBGMもあってマジで震えました。

その他にも、軌跡が曲げられる銃弾を使ったガン・アクションとか、あり得ない3次元的な動きをするカーチェイスとか、頭を撃ち抜かれると相当リアルに血が飛び散るとか(R-15も当然)、今までにないアクションのための創意工夫がテンコ盛り。良かったわー。

また、暗殺術の師匠役であるアンジェリーナ・ジョリーの存在感もいつもどおり凄かった。彼女がスクリーンに登場するだけで、映画が非現実的なリアリティーを持つよなあ。変な表現だけど。

映画中で主人公がサングラスをかけようとするシーンは、「マトリックス」へのリスペクトだよね。本作と、ハリウッド・アクションを新しいレベルへ押し上げようという野望は共通してると思います。そんな訳で贔屓込みで☆5つ。