ポスドク問題シンポに行ってきた

日曜日に、東大の小柴ホールで「科学技術政策シンポジウム 科学・技術の危機とポスドク問題〜高学歴ワーキングプアの解消をめざして〜」というシンポがありまして、当事者の一人として行ってきました。表題のポスドクとは、ざっくり言うと短期雇用の研究員のこと。日本では16000人以上がいて、平均的な収入は税込月30万円です。(ただし文系は20万円。マジかよ)

シンポジウムでは、基礎科学に関する小柴さん(ノーベル賞とった物理学者)の講演のあと、ポスドク当事者や組合の方から報告があり、さらに会場からの発言がありました。参加者は200人ぐらい。詳しくは国交労連による案内NHKニュースをどうぞ。

個人的には、科学の発展にとっての問題云々より、ポスドクをやってる人たちの、世代間格差に対する恨みや自己責任との葛藤なんかが印象に残りました。まあ、いわゆるロスジェネ世代の怨嗟の声ってやつに似ています。

シンポの報告を聞きながら、ポスドク問題についてつらつら考えてみるに、正規職員との待遇格差(家賃補助とかな!)なんかも問題ではあるものの、一番致命的なのは年齢ではなかろうか、と。

つまりですね、普通に進学してきた大学院生だと、28-30歳で学位をとって、多くはそれからポスドクを始めます。そこで、優秀か頑張ったか、または幸運な人からパーマネント(任期なし)の職を得ていって、35歳過ぎて残っちゃうと崖っぷちってわけです。一般的には。

実際、夢を追うタイプの職であれば、数年間はモノになるかどうかトライしてみるという形態はよくあることだと思います。ただ、普通そういうのは、学部卒の22歳からはじまって、見切りをつけるのは26歳ぐらいではなかろうか、と。で、ダメであれば、そこからハローワークで再就職して普通の人生を歩むのでしょう。たぶん。

でも研究員だと、30歳から始めて見切りをつけるのが35歳。はっきり言って、ダメだった場合に救いようがないんじゃねーかなあ。つぶしがきかなすぎる。それに、家庭を作っていく、つう人生設計が30歳過ぎてもできないのは、非常に厳しいです。エライことになっちゃったな、という思いがふつふつと湧いてきます。

そんなことを考えた日曜でした。いやー、これからどうなるんですかねー。自分。

●他の人の感想(11/20に追記)

労働組合が主催の割りに、政策提案など全く無くて、単に「金よこせ」になっていて、ちょっとこれではなあ・・・という感じでした。
科学・技術の危機とポスドク問題〜高学歴ワーキングプアの解消をめざして - 橋本昌隆 株式会社フューチャーラボラトリ

たしかに、ポスドクが抱える不安と、これが政治的な(つーか文教予算上の)問題であることを分かりやすい言葉で説明できてなかったような気はする。後で自分でまとめてみようかなあ。

あるパネリストから事例としてだされた32歳ポスドクの年給は480万円.コレって,ほんとうに高学歴ワーキングプアなの?
【イベントレポート】科学技術政策シンポジウムで小柴昌俊さんの話を聞いてきた(11/16)- Science and Communication

アレには自分も驚きました。結構高給なポスドクもいるのな。