蟲師 10巻 /漆原友紀

蟲師(10) (アフタヌーンKC)

蟲師(10) (アフタヌーンKC)

中世日本的な世界を舞台に、異形の生物を操る「蟲師」ギンコの活躍を描いたファンタジー。とうとう最終巻です。

やっぱり作者独自の世界が確立されていると強いですねえ。決して絵も上手くないし、話のバリエーションも多くないと思うんですけど、最後まで楽しく読めました。自分マンガ史のなかでちゃんと位置を占める作品。

まあそんなことより、今巻のエピソード「香る闇」が断トツに面白かったんすよ。ちょいネタばれですが、SF好きの自分のアンテナにビンビンきました。全くSFじゃない世界で、読者としても予想だにしていないところで、すっとSF的アイデアに出くわすと感激してしまいます。それに、このエピソードが一連の話の中でちゃんとなじんでるのも上手い。いつの間にか夢の世界にいるような不思議な読後感は、まさに「蟲師」のものなわけでさ。これ、かなり好きだなあ。