"Yes" Rhyme-dentity /Little
このLittleというラッパーは、Kick the Can Crewにいた人。去年に出た3枚目のソロアルバムです。
ラップの「上手さ」の評価軸は色々あるけれども、リズムよく韻を踏んで行くことにかけては、このLittleはトップレベルじゃないかなあ、と常々思ってます。RhymesterのMummy-Dに並んで。
その点では今作もよく出来てて、メジャーとアンダーグラウンドの微妙な立ち位置にいるけれど、もっと評価されてもいいと思うのよ。
収録曲では、LittleとMicroとSmallestという小さい人達が集まった微笑ましい「Gradation」、ビッグバンドジャズ風の「Sing Sing Sing」、早口でまくしたてる「ワンマンショウ」が良かったかな。あと、Mummy-Dが参加した「足跡の中を旅してる」は、サンプリング音楽としてのヒップホップを絶妙に表現した佳曲だと思う。
ただ、「子どもが豊かさを恥ずかしがる」「この街は平和すぎる」(「Karma」)なんかのリリックの内容が、若者のリアリティから離れちゃってるのがつらい。実際、ヒップホップを聞くような最底辺の人たちの生活はもの凄い勢いで荒廃してて、それに対応してガチの不良ラップが支持を広めてる現状があるわけで。そういう意味では、Littleの今後の立ち位置が難しくなってるねえ。
Little feat. Big Ron - Karma
Little feat. Cuezero, 童子-T, Mummy-D - 足跡の中を旅してる
