秘曲笑傲江湖 /金庸

秘曲 笑傲江湖〈第1巻〉殺戮の序曲

秘曲 笑傲江湖〈第1巻〉殺戮の序曲

武侠小説と呼ばれる、中国の時代劇っぽい大衆エンタメ小説。作者の金庸は中華圏で絶大な人気を誇るらしい。

金庸作品は初めて読んだんですけど、いやー、これは凄かったよ。単行本で全7巻と結構な分量にもかかわらず、あっという間に読めました。「努力、友情、勝利」に、迫力の格闘戦や伏線張りまくりの陰謀、魅力的な仲間と敵役から、美少女たちとのハーレム恋愛まで、エンタメの要素をこれでもかと詰め込みまくり。

ノリとしては、今のバトル系少年マンガと非常に近い気がした。というか、そういったマンガのモチーフが、もうここでほぼ出揃ってると言ってもいいかも。体術と気功の複合とか(「NARUTO」等)、主人公よりずっと強い猛者がたくさんいる世界とか(「ハンター×ハンター」)。主人公が会得する武術の真髄も「バガボンド」と凄く近かったり。

また、恋愛要素も少年マンガとほとんど同じなんですよ。元気系幼馴染、引っ込み思案のメガネ図書委員、高飛車でツンデレな財閥お嬢様の3人が主人公に気があるって、どこのラブコメマンガだ。

つーわけで、少年マンガを普通に読んできた男子、まあだから日本の大部分の男子はなんの違和感もなく熱くなれると思います。

さらにさらに、エンタメとして政治的要素も入ってんのよ。後書きを読むと、本書が書かれた文化大革命時において、この話が持つ政治的リーチがちゃんと意識されているのよね。すげえなあ。*1

ホントもの凄かった。興味ある方は図書館へどうぞー。

●リンク

金庸の世界へようこそ。 - Something Orange金庸のほぼ全作品が紹介されてる。次は射雕英雄伝を読んでみようかなあ。

*1:文革時にこれがベストセラーになってるのを考えると、中国の大衆は結構懐が深いような気がする。