ウロボロスの波動 /林譲治

西暦2123年から2171年までの太陽系開発事業の発展を描いた、連作短編集。異質な集団間のコミュニケーションが共通の裏テーマとされていて、短編集ですが連続性もある作りです。

どの短編も、思いも付かないトラブルに開発事業が直面するところから始まるため、大変なことが起こっているように見えるのですが、実は、その原因や解決方法は全く実際的なことである、というリアリズムが楽しい。まあ、そういう意味では正しくハードSFであり、SF好きじゃないと楽しめないような気もしたり。

個人的には、宇宙空間や惑星上につくられる、数千キロにも及ぶ巨大建築物の描写も魅力的でした。

ウロボロスの波動 (ハヤカワ文庫 JA)

ウロボロスの波動 (ハヤカワ文庫 JA)