本
不気味な生物「ギタイ」に地球が侵略されてる近未来を舞台にした戦争SF。新兵である主人公が、戦闘で死ぬたびに二日前に戻る、いわゆる時間ループに巻き込まれてしまう話です。時間ループはよくある話だし、セーブとロード、フラグ、ルート等々のストーリー…
機械翻訳の研究者が、古代文字の解読を試みる過程で悪意に満ちた神の存在に気付き始める、というハードSF。1976年に発表され、日本SFのマイルストーンになった作品らしいです。ある謎の論理的な解明が、物語世界の成り立ち自体を揺さぶる、というSFの醍醐味…
スターク家の子ども達が成長していく様を描いた第2巻。今後、この魅力的な子ども達がどのように物語に関わってくるのか、とても楽しみです。一方、宮廷内の権謀術数については小出しで、今回はあまり進展せず。こりゃ長丁場になるなー。☆☆☆★★七王国の玉座〈2…
ハルヒ第7作。ま、粗筋は省略。基本はドタバタSFでたまにラブ(ニヤリング)投入、というのはいつものフォーマットですが、今回のラブの使い方はちょっとやられました。気付いて当然だったのに、と悔しくなるのが今回の売りですね。ただ、SF設定の適当さは相変…
現代日本の地方都市を舞台に、幼馴染の女の子がタイムトラベルできるようになって、男子高校生が大慌てする。ような感じの青春SF。まずは、タイムトラベルを調べるためにこれまでの膨大なSFを分析する、というメタな展開が面白いです。溜まり場の喫茶店の名…
男子高校生の小鳩君が相棒の小山内さんと日常の謎を不本意ながら解いていく、青春+推理モノである「小市民」シリーズの第2作。前作の軽い雰囲気も好きですが、小山内さんの過去に関わる後半からのヘビーな転換はとてもいいですね。今の子ども達が生きる相当…
1957年発表のSFクラシック。若干古い描写があるものの、丁寧に伏線が織り込まれたタイムトラベルものとして、確かに普遍的な面白さがありました。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」から「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」や「涼宮ハルヒの消失」まで…
1937年、日本軍が侵攻する南京で、難民安全区の確立に奔走したドイツ人ビジネスマンであるラーベさんの半年間にわたる日記。南京論争は置いておいて、不謹慎ながら、これは一級のヒーローモノ・エンターテインメントですよ。ちょっと頑固かつユーモア溢れる…
「ハイペリオン」シリーズ第2作。前作で語られた、全く様相が異なる6つのエピソードが、魔法のような手腕で銀河規模の壮大なストーリーに収束していく気持ち良さといったら、もう。まさに圧巻の一言ですよ。もしかしたら全4作中でも、ガチガチの政治・軍事モ…
ハルヒの5,6作目で、どちらも短編集です。まー、これまでの作品と同じような出来ですかね。SF設定の物足りなさを、たまに投下されるラブコメで補強って感じ。「暴走」の方は、「雪山症候群」が面白かったかな。結局、謎も完全に解決されるわけじゃないんだけ…
クラスメイトのポシェットが紛失、みたいな日常的な謎を、なるべく推理しないように努力するけど結局解決してしまう、高校一年生男子が主役のライトノベル的ミステリー。さくさく読めるうえに、読後感もさっぱりしてて、結構気に入りました。多分、わざと表…
「七王国」という中世ファンタジー的な大陸を舞台にした歴史大河ドラマ。「Something Orange」というブログで絶賛されていたのですが、本当に面白い。たくさんの人物が登場するにも関わらず、どの人物もきちんとキャラが立ってる。そして誰もが腹に一物を抱…
未読だが、その趣旨は高く評価されるべきである。理系に行こう!―女子中高生のための理系案内作者: 都河明子出版社/メーカー: 九天社発売日: 2006/07メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る
4巻目。前巻の「笹の葉ラプソディ」は振りであって、こちらが本編です。で、タイムトラベルものとして筋がしっかり練られてて、これまでに比べていきなり面白くなった。ラノベの軽さとSFの複雑さのバランスは、これくらいが一番好きかも。キョンの奮闘振りも…
3巻目の短編集。こん中では「笹の葉ラプソディ」が唯一SFしてて面白かったかな。他はドタバタしてるだけでイマイチ...☆☆★★★涼宮ハルヒの退屈 (角川スニーカー文庫)作者: 谷川流,いとうのいぢ出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2003/12/01メディア: 文庫購入:…
主に人間(や地球外生命)の協働がテーマの4つの話を集めたSF短編集。人間性に関しての、ちょっと恥ずかしくなるほどの楽観主義のお陰で、どの話も最後はいいオチがついてます。中学生ぐらいに勧めたら、SFを好きになってくれそうな気がしますよ。特に4番目の…
ハルヒの2巻、文化祭に向けて映画を撮るぞ、の巻き。まー、ライトノベルというジャンルに忠実な、軽く読める内容すかね。感想も、しょんぼりしてるハルヒ萌え、とかでいいような気もする。というわけで今回のSF要素はだいぶテキトーな感じですが、これ以降の…
普通の高校に入学した男子が、宇宙人、超能力者、未来人を探そうと目論むぶっ飛び美少女に振り回される、ソフトSF+ライト青春モノ。を軽い味付けに加えた萌えラブコメ。宇宙創成に関わるSFパートはえらくあっさりしてるし。内容としてはそーゆー萌えモノな…
物理のゼミ(素粒子実験系)に入った4回生男子が、宇宙を作ろうと目論む天才飛び級少女に振り回される、ハードSF+ライト青春モノ。で、一番印象的だったのは、主人公のリアルなダメさ。ぜんぜん理解してない物理系に進んだのは好きな女の子が目当てだったはず…
まるで趣が異なる6つのエピソードを語りながら、お互いの関連を匂わせる粋なつくりになってる大作SF。山ほどのSF要素と伏線をぶち込んであって、話がちゃんと収束するのか心配するほど。解決編は次巻ですが、少人数の旅が宇宙規模のカタストロフに絡むストー…
このブログ初の成人向け作品。しかも、昨今の膨大なエロゲーをサンプリングした凌辱一直線なライトノベル(つまりキモオタ仕様ってこと)で、あんまり人に読んでるとこは見られたくないぞ、という。でも紹介するのは、メタSFとしては一級品だと思うからなんで…
象徴学を研究する学者さんがキリスト教にまつわる陰謀に巻き込まれる、という話。絵画や言葉に埋め込まれた意味を見出すのが象徴学らしく、ミステリーにぴったりの題材。ただ、中盤以降は説明されても、無学な僕としては「ふーん」としか言いようがないネタ…
戦闘機のディテールに懲りまくった軍事オタクものかと思いきや、SFの普遍的なテーマである人間と機械との関係性についての重厚な物語でした。戦闘機乗りである主人公は、戦場で瞬間的な判断を行えるように、情報のインプットから機器の操作というアウトプッ…
1990年前後に発表された作品を書き直した短中編集。タイトルから分かるようにハードSF志向だけど、テクノロジー自体ではなく、変容した世界での人間の五感の描写が多くて不思議な余韻がある。最後に視点を逆転させるようなどんでん返しもあって、どことなく…
マニアックかつ下らねー駄洒落を満載したSFの短編集で、茶川賞受賞作。ということですが、僕もほとんどネタは理解できてないんだろうな、と。映画の「最臭兵器」や「ガメラ」なんかとネタがかぶってると思うのは、つまり有名な古典作品(パクリ元)があるとい…
1990年代のSF各賞を総なめにした短編・中篇集ですが、それも当然と思えるほどSFとしての完成度は高かった。SFの楽しみの大きな一つに、著者が発明した、この世界とは全く異なる概念で成り立つ世界に驚くことがある。で、どの話もそれが異様に上手いんです。…
2071年、火星の北極冠で節足動物に似た地球外生物の死体らしきものが発見され、主人公はその調査に向かう、という話。でも最も楽しかったのは、意思を持ったAIが電脳世界で活躍する描写だったな。☆☆☆クリスタルサイレンス〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)作者: 藤崎…
研究室の後輩の勧めで三島由紀夫初体験。堅苦しいという先入観とは違って、ちゃんとしたエンターテインメントの心理サスペンスでした。カウンセラーによるメモという形式、不感症という題材、ほとんどの話がカウンセリング室の会話で進むなど、ちょっとひね…
人のコネクション、インターネット、感染病の流行、生態系の安定性など、ある「もの」の相互関係・構造を取り扱う、「ネットワーク科学」をサイエンス・ライターが紹介した本(初版は今年3月)。著者は、構造を持つ上記のような現象を説明するには、これまでの…
すでに星間飛行技術が開発され、人類が宇宙に拡散しつつある25世紀。考古学者シルベステはある星で99万年前に絶滅した異星種族の遺跡を発掘していたが、そこでの発見は人類の生存をも左右するものであった。という、スケールのでかいハードSF。色んな話、伏…